東京五輪、医師もボランティア募集で批判…実現に向けたポイントとは

2020年の東京オリンピックに関して、こんな記事を読んでびっくりしてしまいました。

医師や看護師ら医療スタッフをボランティアで募集するそうです。

2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は15日、大会中に競技会場などで活動する責任者以外の医師、看護師らの医療スタッフに、一部を除いて組織委が報酬を支払わない方針を明らかにした。大学病院などの医療機関や、地域の医師会などの関係団体に協力を求め、要員の確保に努める。

 宮本哲也医療サービス部長は必要な人数については調整中とした上で、確保の見通しについて「病院の職務の一環として引き受けていただけるところや、職員の方でお気持ちのある方に来ていただくというのもある」と説明した。各会場の医療責任者ら一部については20年4月以降、非常勤の有給職員とする。

出典:ライブドアニュース

それはあまりにも無謀なのでは?というか命を守るという責任ある仕事をしている医療者に失礼ではないのか!?

ネットやSNSでも「ブラックすぎる」と随分批判の声が上がっている様子。削るべき予算はほかにあると思うのですが…

このままでは医療スタッフが不十分な状態のままオリンピック開催という最悪の事態になりかねません。

そこであえて!外科医の夫と意見を交わし「医療ボランティアを本気で集めるためにはこうすべきではないか」というポイントを勝手にまとめてみました。気ままな持論です(^^;)

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ネット、SNSで批判の意見続出

この医療ボランティア募集についての議論は夏頃からあったようで、検索すると批判的な記事がわんさか出てきました。中には、実際に無償での参加を打診された医師のコメントも。

やはり一般常識で考えるとありえないですよね。

東京五輪のスポーツドクターの仕事依頼がきたが、「案の定 無償」だったとして医師が苦言を呈している。

産婦人科医で婦人科スポーツドクターの高尾美穂氏は、東京五輪でのスポーツドクターの依頼がきたことを29日にTwitterで報告。しかし、その報酬は「案の定 無償」だったとして、「本気でこれでいいのか?これでは日本スポーツ界は変わっていかない」と疑問を呈している。医師としてのスタンスについて、「好きな人が好きなことやってるんだからいいでしょ?じゃない、資格持って責任持ってする仕事なんだよ」と語っている。

出典:ライブドアニュース

実は楽天球団にもいる医療ボランティア

ここまで医療ボランティア募集について批判的に書いてきましたが、実はスポーツの世界ではしばしばあることらしく。

例えば私の暮らす仙台市は楽天イーグルスの本拠地ですが、医師や看護師らをボランティアで募集しています。

実際には地域の病院に有償で医師の確保をお願いして、看護師や救命士らはボランティア…というパターンで運営しているそうです。夫も何度か救護室の医師として勤務したことがあります。

楽天を支える「地元愛」

オリンピック組織委員会もそのような現状を見て、「ボランティアで集まるかも」と思ったのかもしれません。

しかし、この楽天球団と東京オリンピックのケースが大きく違うのは、「応援したいという自発的な気持ち」が生まれているかどうかではないかと思います。いわば「地元愛」とでもいうんでしょうか。

例えば、私の知人の看護師さんも楽天球団の医療ボランティアに参加しています。報酬はないのですが、「特等席(救護室)からタダで試合を見られる!うれしい!」と満足感は高そうでした。

さらに彼女は楽天イーグルスのファンクラブにも入っているそうです。「楽天が好きで力になりたい」という気持ちが伝わってきますよね(^^)

オリンピックへの不信感?

かたや東京オリンピックはなんとなく国民感情が置き去りになっているような気がします。

競技会場の見直しでもめてみたり、エンブレムの盗用騒ぎがあったり。その結果、予算が当初の見込みより大幅に増えて既に2兆円を突破。最終的に3兆円を超えそうだと言います。

初めに掲げた「コンパクトな五輪」のスローガンは一体どこへ。せっかくの世界的イベントに向けて国や国民が一丸とならなくてはならないのに、いまだ東京都や組織委員会への不信感がぬぐい切れてない印象です。

そんな状況の中で、「日本のためにボランティアを」と言われても素直に受け入れられないのは当然な気がします。

さらに今回のボランティア募集のように、上から目線で「オリンピックに参加できるチャンスですよ!ありがたいでしょう」と言わんばかりの態度では、国民の心はますます離れてしまうのではないでしょうか。

医療ボランティア実現のポイント

本題に戻しまして!それでも「もし医療ボランティアを実現させるなら…」と想定して、夫と話したポイントは以下の2点です。

何かあった時の責任を軽減すべき

オリンピックという世界的なイベントには各国からトップアスリートと何万人もの観客が集まります。そして最近の東京の猛暑を見ると、熱中症の患者は多数出ることが予想されます。

日本人だけではなく言語の通じない患者を診療するというのは大変なプレッシャーではないでしょうか。

たとえ通訳が付いていたとしても、直接コミュニケーションが取れないということは診療の上で時間のロスや微妙なニュアンスを伝えられない、といったハンデにつながります。

医療者自身のミスではなくても、医療事故のような事態に陥る可能性は捨てきれません。

そういった時に国が医療者を全面的に守ってくれるのか。個人の責任追及ということになるとあまりにも負担が大きくかわいそうです。

もちろん医療ミスや事故などないのが前提ですが、そこはきちんとしておかないと怖くてとても参加できないのではないでしょうか。

競技を観戦する機会をあげよう

ボランティアをするメリットは「オリンピックに参加した」という達成感や競技を間近で感じられる臨場感だと思います。

ぜひ希望競技のチケットを差し上げて、ゆっくり観戦する機会をあげてほしい。

もしくは患者がいない時は自由に観戦席に行っていいようにしたり、フリーパスを支給したりするのはどうでしょうか。

でも課題は山積み…

あと、勤務していると「ボランティアしたくてもできない」という方がほとんどなので、職場の協力を得られるかが重要ですよね。ただでさえ人手不足なご時世なので、非常に難しいのではないでしょうか。

開業医だとなおさらで、自身の医院を休診にしなければなりません。課題はまだまだ多そうですね。

というか、医療者は有償にしてしっかり人数確保してほしいです。日本が世界からバカにされそうで不安でたまりません(>人<)

また、組織委員会や東京都は一般ボランティアも約11万人募集していますが、その内容が重労働だと話題になっていてこちらも集まるかあやしいところ。

ボランティア募集のCMや広告に多額の費用を掛けているように見えますが、その分を活動資金として使う選択肢はなかったのでしょうか。

ぜひ組織委員会には一般感覚での運営をお願いしたいです!

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