床屋=外科医だった歴史。看板が「赤青白」なのは医学に由来!

2018年5月25日

床屋さんの前でクルクルと回る特徴的な筒状の看板、子どもの頃にとっても気になる存在でした。

いつまでも終わらない渦巻き模様を不思議な気持ちで眺めていた記憶があります。正式名称は「サインポール」と言います。

実は床屋さんはかつて外科医を兼ねた職業だったことをご存知ですか?そしてサインポールが「赤」「青」「白」の3色で構成されていることにも、医学に関わる意味があるという説があります。

今回は床屋さんと外科医の深い関わりと、サインポールのデザインの由来をまとめました。

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中世ヨーロッパの床屋外科

12世紀頃からヨーロッパにはいわゆる「床屋外科」という職業がありました。

当時の医療は修道院が中心で、薬を処方したり、祈とうをしたりしていました。血を流したり、刃物を使う外科的治療は蔑視され、医学とはみなされていませんでした。

そこで同じく刃物を使う職業である理容師が請け負うようになった歴史があるんだとか。

外科的治療は蔑視されながらも需要がありました。当時から外傷の手当て、できものの除去、抜歯などが行われていたそうです。

18世紀頃からは医学が発達して外科的治療が重要視されるようになり、外科医と床屋は別の職業に分かれるようになったのです。

サインポールはなぜ「赤」「青」「白」?

現在のような床屋さんのサインポールが日本で初めて使われたのは明治時代。そして特徴的な「赤」「青」「白」の3色ストライプの看板はほとんどの国で共通して床屋さんの象徴として使われています。

このデザインにはどんな意味があるんでしょうか?有力な説を4つご紹介します。

① 動脈と静脈を表す説

床屋外科だったころの名残で「赤=動脈」「青=静脈」「白=包帯」を表すという説は比較的有名。

私も当初、外科医の夫からこの「動脈、静脈と包帯説」を聞き「へーっ」と納得していました。

しかし、この説の信憑性は低そうです。

「血管に動脈と静脈がある」という事実が発見されたのは17世紀頃。床屋外科が生まれた12世紀頃に動脈と静脈を色で分けたというのは考えにくいらしいです。

② 血と包帯に星条旗の青を加えた説

当初は血を象徴する赤と白い包帯を意味する2色のストライプでした。それがアメリカに伝わった際、星条旗が3色で構成されていることに合わせて青色も加えられたんだとか。

この説は2005年に放送された雑学テレビ番組「トリビアの泉」でも紹介されました!

③ 瀉血説

当時のヨーロッパで頻繁に行われていた外科的治療のひとつに「瀉血(しゃけつ)」という物があります。

悪い血を体内から抜くことで病気が治ると考えられ、心不全や高血圧の治療に行われていました。当時は宗教的な意味合いもあり、修道院の僧侶たちが修行の一環で行うこともありました。

本当に効果があるのか疑問に思いますね!現代では医学的根拠は薄いと考えられています。しかし術後の処置などとしては今でも行われていて、注射器を患部に刺してたまった血を抜きます。

当時の具体的な処置は、腫瘍部分や腕の静脈を刃物で切り開きます。その時に流れる血で周囲が汚れないよう、患者に棒をにぎらせて受け皿に血を伝わせました。

棒に付いた赤い血が目立たないように棒自体を赤く塗って使用するように。さらにそこに白い包帯を巻いて床屋外科の軒先に干していたことが起源になったんだとか。

17世紀になって床屋外科が職業分けされた時に「床屋=青」と定められたため青色が加わって現代のようなストライプになったと言われています。

④ 野戦病院説

「赤」「青」「白」のストライプと言えばフランスの国旗にそっくりですよね!

ナポレオンが活躍した時代、戦争の時に野戦病院の入り口にフランス国旗を付けた棒を立てたことが由来になったという説もあります。

いろいろ調べていくと、③瀉血説が最有力とされているようですが、明記された文書などがないので断言はできません。

みなさんはどの説が正しいと思いますか?

いずれにせよ「床屋=外科医」だったという事実は確かなようです。外科医という職業が確立するまでには差別や偏見との戦いがあったなんて驚きですね。

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