流行中の風疹から胎児を守るために。妊娠適齢期の女性向け予防策

今年は風疹(ふうしん)が大流行していて、メディアでも頻繁に注意喚起されています。

国立感染症研究所の調査によると、全国の累計患者数は1289人(10月17日現在)。2017年は年間患者が93人、2016年は126人だったそうなので、今年は突出していますね。

国立感染症研究所 風疹急増に関する緊急情報

なぜ風疹がこんなにも恐れられているかというと、妊娠中の女性が罹患すると胎児にも風疹ウイルスが感染して、赤ちゃんに障害を引き起こしてしまう恐れがあるから。

妊娠中には予防接種を受けることができない上、「予防接種したのに抗体が消えてしまう」という例も意外と多くあるそうです。抗体がない妊婦さんは心配で気が休まらない日々を送っているのではないでしょうか。

「子どもの感染症」というイメージがありますが、今年は30~50代の男性患者が多く、大人同士で感染しているんだとか。自分が原因となり周りの妊婦さんに感染させてしまったら…と考えると恐ろしいですよね。

流行中だからこそ最低限知っておきたい情報をまとめました。特に妊娠適齢期の女性に読んでほしい「効果的な予防策」をリサーチしたので、参考にしてもらえるとうれしいです!

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風疹ってどんな病気?

風疹ウイルスによる発疹性の感染症で、全身の発疹のほか発熱、リンパ節の腫れなどが主な症状です。

別名を「三日ばしか」とも言って、はしかよりも症状が軽く早く治ることからきているそうです。はしかについては以前の記事でまとめています。

症状が軽いといってもあなどってはいけません。潜伏期間が数週間あり、症状が出ていなくても知らず知らずのうちに感染を広めてしまうことがあります。

そして前述した通り、抗体のない女性が妊娠中に感染すると、胎児に「先天性風疹症候群」を引き起こしてしまう恐れがあるのです。

先天性風疹症候群って

妊婦が妊娠初期に風疹ウイルスに感染すると、胎児にも感染して心臓疾患、難聴、白内障など先天的な障害を引き起こす可能性があります。

特に妊娠20週頃までの間は影響を受けやすいそうです。例えば妊娠2か月頃に母体が感染すると35%の確率で胎児になんらかの障害が起こる可能性があると言われています。

風疹に感染した妊婦さんの中には人工妊娠中絶を選択する方もいるそうです…とても悲しいですね。

妊娠適齢期の女性へ!効果的な予防策

そのような悲劇を避けるために、一番有効なのは「妊娠前に抗体を獲得しておくこと」です。

妊娠前に抗体検査を受ける

妊娠が分かった時の血液検査で抗体の有無を調べることがあります。私も長男を妊娠した時に、風疹の抗体検査を受けました。

しかし、妊娠してから抗体がないことが分かっても、予防接種を受けることはできないので、風疹ウイルスにびくびくしながら暮らさなくてはなりません。

ぜひ妊娠前に一度抗体検査を受けて、もし抗体がないことが分かったらすぐに予防接種を受けましょう。予防接種後、2か月は妊娠しないほうがいいとされているので、できるだけ早めに行動することが望ましいですね。

現在、条件に当てはまる年齢の女性やそのパートナーの抗体検査は公費負担で受けることができます。自治体によって予防接種費用を負担しているところもあるので、調べてみてくださいね。

記憶に頼らない

風疹は一度罹患すると、強い抗体ができるため、その後は二度とかかることがないと言われています。

「子どもの頃に発疹ができる感染症にかかったような気がする」「親に聞いたら風疹にかかったことがあると言っていた」と自己判断するのはとても危険です!

子どもがかかりやすい感染症で発疹が出るものはたくさんあります。はしか、突発性発疹などなど…発疹がでるからといって風疹であるかは分かりませんし、親の記憶が違っているかもしれません。やはり改めて抗体検査をおすすめします。

「予防接種を受けるだけ」ではダメ

ここで注意してほしいのは、「予防接種を受ければ確実に抗体ができる」というわけではないこと。抗体がつきにくい体質の人もいるので、再度抗体検査をすると安心です。

私の知人は大人になってから2回予防接種を受けて、2回とも抗体がつきませんでした。その方は妊娠初期、本当にびくびくしながらできるだけ外出を避けて過ごしたといいます。

抗体検査が無料になるのは一度だけ、という自治体が多いので2回目以降は数千円程度の検査費がかかってしまう場合があります。

家族も予防接種を受けよう

自分だけでなく、同居する家族や子どもも予防接種を受けるようにしましょう。

前述した通り今年は30~50代の男性患者が多いそうですが、これは国が予防接種を実施していない年代があるからです。

以下が年代別の風疹予防接種の状況です。

  •  昭和37年4月1日生まれ以前…風疹ワクチンの接種なし
  •  昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれ…女性のみ集団接種、男性は接種なし
  •  昭和54年4月2日~昭和62年10月1日生まれ…中学生時に個別の定期接種

その後、乳幼児の定期接種として定着していき、現在では1歳の誕生日から接種が可能です。風疹以外にも、子どもの定期予防接種はしっかり確実に受けましょう。

30代以上の男性は風疹の予防接種自体を受けていないので、抗体を持っていないことがあります。そして自身に症状がなくてもウイルスに感染している「不顕性感染」でうつしてしまったり、潜伏期間に感染を広めてしまうケースがあります。

30~50代男性の検査、公費負担へ

厚生労働省はワクチン接種を受けていない世代の男性が感染の媒介なっている現状を重く受け止め、来年度からは30~59歳までの男性の抗体検査を全額公費負担とするそうです。

厚生労働省は、風疹の免疫の有無を調べる抗体検査について、30歳以上60歳未満の男性を対象に、来年度、検査費用を全額公費で負担する方針を決めた。今年の風疹患者は既に昨年の7倍近い642人に達しているが、この世代の男性は昔の予防接種制度の影響で、ワクチンを打っていない人が多く、流行の中心になっている。

出典:ヨミドクター

生まれてくる大切な命を守るために、周りの大人がしっかりと準備をしてあげたいですね!

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