予防接種反対派が主張するリスクを考える。水銀が入っているって本当?
息子が生まれて驚いたことのひとつが、乳児期からたくさんの予防接種を受けること。
数えてみると、1歳半までに任意接種やインフルエンザワクチンなども含めて20本以上も接種しました。
定期の予防接種は以前は義務でしたが、現在では「努力義務」とされていて、保護者の意思で「受けない」という選択肢もあります。
予防接種反対派の理由の一つが、「人体に悪影響を与える」ということ。「水銀が添加されている」などという話も聞きます。
それでも私は「予防接種は受けるべき」と考えます。予防接種に関する噂やリスクを踏まえた上で、適正活用について考えました。
一定数存在する「予防接種反対派」
「予防接種を子どもに受けさせたくない」という意見を持つママに何人か会ったことがあります。
そういう方は育児に対して意欲がないわけではなく、むしろかなり教育熱心である場合が多いのです。
離乳食もオーガニック素材にこだわり、食品添加物も極力とらないように気を付けているような、いわゆる「自然派ママ」が予防接種反対派と重複するように思います。
話を聞くと、反対する理由がいくつかあるようです。
有害物質が入っている
「ワクチンには水銀が入っている」と聞いたことはありませんか?インフルエンザワクチンには防腐剤としてチメロサールという「エチル水銀」に由来する物質が入っていることがあります。
水銀と言えば水俣病が頭に浮かびますよね。水俣病の原因となるのは「メチル水銀」で非常に毒性が強いもの。
対してエチル水銀は体に蓄積せず、人体への影響はほとんどないと考えられています。現在ではチメロサールフリーのワクチンが大半となっています。
過去には「チメロサールの影響で自閉症を引き起こす」という報告があり話題になったそうですが、現在では根拠のない説とされているようです。
さらに水銀は自然界にも存在します。マグロやメカジキなどの大型魚にはメチル水銀が少量ですが含まれています。「妊娠中はマグロを食べすぎてはいけない」というのも水銀の背摂取を控えるためです。
マグロに存在する水銀は、ワクチンに添加されているチメロサールよりずっと多いと言われています。
水銀の影響を気にするなら、年に数回接種するワクチンよりも、日々の食卓に並ぶマグロの刺身を控えましょう!
副反応がある
予防接種を受けると発熱、腫れ、吐き気など副反応が出ることがあります。しかし予防接種で防ごうとしている病気に比べれば、その症状は軽微であることが多いのです。
ただし、ワクチンに対してアレルギーを持っている子もいます。
例えば卵アレルギーがある子はインフルエンザワクチンを接種できないことがあります。これはワクチンを鶏卵から製造しているからです。
その場合は医師に相談しながら予防接種を進めましょう。
過去に予防接種で健康被害があった
過去に予防接種が原因で集団感染した事例があります。B型肝炎訴訟は記憶に新しいのではないでしょうか。
これは注射器を使いまわしていた昭和時代の話。平成になってからは使い捨ての注射器が普及し、予防接種による集団感染のリスクはほとんどなくなりました。
また、ワクチンの副反応で予期せぬ健康被害につながってしまうことがあります。
しかし同時期に何かの感染症にり患した可能性もあり、一概に「ワクチンのせい」と決めつけるのは難しいのです。
重大な健康被害につながる例は数万件に1件程度の極めて低い確率であると言われています。
ちなみに、国やワクチン製造メーカーは定期接種で定められているワクチンは予防接種法に基づき補償制度を設けています。
もちろん何も起こらずに安全にワクチンが活用されることが原則ではありますが、知識として知っておきましょう。
リスクとメリットを知ろう
予防接種には確かに懸念される要素もありますが、それ以上に得られるメリットが大きいのではないでしょうか。
例えば天然痘は昔は致死率の高い感染症でしたが、予防接種が一般的になったおかげで現在では絶滅したと言われています。これはワクチン普及の大きな成果と言えます。
予防接種を受けたからといって確実に感染を防げるとは限りませんが、重症化を抑える効果が期待できます。感染を未然に防ぐ、または重症化を防ぐことは国全体の医療費削減にもつながります。
子どもに予防接種を受けさせるかどうかは親の判断にゆだねられてはいますが、自分の子だけではなく他の子に感染症を移してしまうリスクもあります。
ワクチンの安全性に疑問がある場合は自己判断でやめるのではなく、まずは医師や専門家に質問・相談して納得いくまで調べてみましょう。
厚生労働省の感染症・予防接種相談窓口 03-5267-9337(午前9時~午後5時、土日祝・年末年始除く)も活用してみてください。
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