陰性でも要注意!インフルエンザ検査の信頼性と意外な常識
身近な感染症であるインフルエンザ。11月頃から感染が出始め、1~3月頃にピークを迎えます。感染者の半数は10歳未満の子どもなので、お父さんお母さんはちょっとの発熱でもハラハラしてしまいます。
今シーズンは過去最多の患者数を記録していることに加え、「ワクチンが足りない」と言われて十分に事前対策が出来なかったケースもあり、ますます気掛かりですよね。
病院のインフルエンザ検査で「陰性」と出て一安心…という方も本当にその結果を丸々信用していいんでしょうか?
インフルエンザ検査の信頼度や医療現場におけるインフルエンザ診療の考え方を調べました。
予防接種をしても100%は防げない
息子はつい先日、38度越えの熱が出たので小児科に行きました。
我が家は昨年のうちに予防接種をしていたのでインフルエンザという可能性はまったく考えておらず、「いつもの風邪かな。何なら病院来なくても自己免疫で治ってくれるといいんだけどな~」という程度でした。
病院で「念のため検査をしましょう」と言われて、初めて「インフルエンザかもしれないのか!」と思い当たりました。予防接種をしていても100%防げるとは限らないんですよね。
特に今シーズンのようにA型とB型が同時流行していると、ワクチンの効果が十分に発揮できない可能性があります。
綿棒で鼻粘膜をこする「迅速検査」
息子が受けたのは「迅速検査」と呼ばれるもので細長い綿棒のようなものを鼻の奥に入れて粘液をこすり取り、その中のウイルスの有無を調べます。鼻の奥をグリグリしている様子は見ていると痛そうですね。
5分ほどで結果が出て「陰性」。一般的な風邪ということで鼻水を止める薬と、もしものための解熱剤をもらい帰宅しました。
※ちなみに解熱剤はできるだけ使わないほうがいいそうです。「熱が出たらお風呂はダメ」はもう古い!解熱剤の使い方に注意、子どもの熱は脳に影響あり?発熱時の入浴法と体の冷やし方も併せてお読みください。
検査は陰性なのに…感染しているかも!?
夫(外科医)に病状を報告すると、「迅速検査の感度はあまり高くないからインフルエンザの可能性もあるよ」とのこと。
「検査で陰性だったのにまだ可能性があるの!?」とまた募る不安…
そこで迅速検査について調べてみました。検査の正確さを表すのが「特異度」と「感度」という指標です。
迅速検査の「特異度」と「感度」
感度…疾患ありの人を陽性と診断できる率
つまり、特異度が高い検査は「偽陰性が少ない」ということなので確定診断に有効です。一方、感度が高い検査は「偽陽性が少ない」ということなので除外診断がしやすくなります。
問題の迅速検査は少し前の研究では「特異度98%、感度62%」という実験結果があるそうです。
感度、結構低いですよね?単純に考えると、陰性という結果が出ても4割の人は「もしかしたら陽性かもしれない」ということになります。
「陽性と出たらほぼ確実にインフルエンザ」と考えられますが、「陰性と出ても本当かどうか怪しい」ので要注意です!現在はもう少し感度が上がった検査になっているかもしれません。
迅速検査をするなら、症状が出てすぐよりも、半日~1日後のほうが正しく陽性判定できるようです。ウイルスの数がある程度増えてからのほうが精度が高くなる、とのこと。
例えば「朝に熱が出始めたら次の日の午前以降」、「夜に熱が出たら次の日の午後以降」が目安になるかと思います。
「感染しているかも」の意識を持とう
お医者さんにお願いがあります。迅速検査で陰性という結果が出ても「インフルエンザの可能性がある」という事実をぜひ患者さんに伝えてほしい!
もし陽性の可能性があると分かれば一層気を付けて外出を控えたり、手洗いうがいを徹底するでしょう。
特に子どもが感染した場合は、ウイルスの排出が大人よりも長く続いていて、症状が直ったように見えても人に感染させてしまう場合があります。集団感染などを防ぐためにも、「もしかしたらインフルエンザかもしれない」という意識を持つことは大切になるのではないでしょうか。
インフルエンザ診療の意外な常識
インフルエンザ診療について夫の意見を聞いたところ、今まで知らなかった興味深い情報が!
検査なしでも診断可能
インフルエンザ流行期に発熱があり風邪のような症状があるときは、基本的に「すべてインフルエンザとして対応すべし」という考え方があるそうです。
そして流行期に発熱や風邪の症状があれば「検査が陰性であっても」、さらには「検査しないでも」インフルエンザと診断してよいとのこと!
もともと感度が低い迅速検査の結果はそれほど重視しないらしいです。じゃあ迅速検査をする意味ってあまりないのでは…
ちなみにハイリスク群(乳幼児、高齢者、免疫抑制者)と呼ばれる患者さん以外はほとんどの場合、抗インフルエンザ薬を飲まなくても勝手に治るそうです。
「発症から5日、解熱後48時間」が二次感染の目安
二次感染については、いつから人にうつさなくなるか本当のところは不明なんだとか。医療現場では便宜上、「発症から5日間経過かつ解熱後48時間」とすることがほとんどです。
「飛沫感染」で伝染するので、疑わしい人はマスクすることで二次感染を予防できるそうです。
インフルエンザ検査は陰性でも油断できないんですね。流行期に発熱や風の症状がある時は、「もしかしたらインフルエンザかも」と考え普段より休養をとったり、マスクを身に付けるなど対策を取りましょう。
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