風邪に効果ありとは限らない!点滴が有効な症状と見落としがちなリスク
体調が悪い時や風邪を引いた時、「点滴をして楽になった」という経験がある方は多いのではないでしょうか。
外科医の夫も、診察をしていると「早く体調を治したいから点滴をしてほしい」と患者さんから頼まれることが頻繁にあるそうです。
しかし症状によって「点滴が有効なケース」と「点滴をしても効果が見込めないケース」があるんだとか。
さらに、点滴をすることで少なからずリスクが生まれることも意外と認識されていません。
今回は点滴の効果的な使い方と知っておきたいリスクについてまとめました。
点滴の目的は2つ
点滴の目的は大きく2種類に分けられます。
①薬を投与する
例えば抗がん剤、ステロイド剤、抗生物質などを効率よく体に吸収させる場合に使います。
②栄養、水分を補給する
主に生理食塩水がベースとなっています。わずかにカリウムやビタミンなどがプラスされている場合もあります。経口補水液と成分は似ています。
風邪を治す効果はない!
風邪や体調不良の時に受けるのは②の点滴で、薬が入っているわけではありません。つまり「風邪を早く治す効果」はないんです。
点滴が風邪そのものを治すのではなく、水分補給をして体力が回復したことで自己免疫が高まり、結果として早く治ることはあります。
もしくは点滴をしたことで「何だか元気になった気がする」という思い込みが働くことも。これは「プラシーボ効果(偽薬効果)」と呼ばれます。
水分補給には有効ですが、もし口から飲んだり食べたりできていれば点滴は不必要です。経口摂取のほうが体に負担がかかりません。
脱水症状がある時は経口補水液がおすすめです。
点滴にはこんなリスクも
そもそも点滴の仕組みを知っていますか?
私は最近まで「針が血管に刺さったままになっている」と思い込んでいました(^^;)
正しくは、針とともにプラスチック製のストローのような筒を血管内に進め、その後針だけを抜きます。血管内に収まった筒の先から点滴液が投与されます。
針の周りに筒をかぶせたような状態で皮膚に刺すので、通常の注射よりも太く、痛みも強い場合が多いです。
ちなみに短時間の点滴では「トンボ針」と呼ばれる小さめの針を刺したままにすることもあるそうです。
腕の神経を損傷したケース
これは採血や投薬の注射にも言えることですが、前腕(肘から手首までの間)の静脈に針を刺したことで、患者さんが神経損傷を負った事例があります。中には訴訟に発展したケースもあるそうです。
神経損傷とまではいかなくても指先のしびれ、うずくような痛みが続いたり、内出血が起きたりすることがあります。
感染症になったケース
また、異物を血管に刺すことは感染症のリスクもあります。私は長男の妊娠中に切迫早産で入院したのですが、その時は子宮の収縮を抑える薬を点滴で24時間投与していました。
そして実際に点滴が原因で感染症になった患者さんが出てしまい、大騒ぎになりました。
いくら器具や患部を清潔にしていても、傷口から細菌が血管に侵入してしまう場合があるそうです。
これは長期間点滴を刺しっぱなしにしていた場合の話ですが、負わなくていいリスクなら避けたいですね。
【体験談】1年半経った今でも残る傷跡
前述の通り、私は長男の妊娠時に2カ月間点滴を刺しっぱなしでした。何よりつらかったのは点滴の刺し替え。
どんなに上手な看護師さんが刺しても、1週間もすると針を刺した血管の穴が広がり、点滴液が漏れ出してしまうのです。
針を刺す痛みが通常の注射より痛いのはもちろん、皮下に漏れ出した液体は内出血となり鈍く痛みます。
そしてまた別の血管に刺し替え…ひどい時は1日に2回、3回漏れることもありました。
両腕には1年半以上経過した今でも点滴を刺した傷跡が消えずに残ってしまいました。
そんな経験もあり、私は「嫌いな物ベスト3」に点滴がランクインしています(^^;)
しなくて済むのなら、痛い思いをする必要はないです!
効果的なケースでは活用しよう
点滴をしたほうがいいのは、経口での水分補給が難しく脱水症状がある場合。
嘔吐、下痢、高熱などの症状があるのに、水を飲むことさえままならない…そんな時は点滴が効果的です。
また、体が小さい子どもは脱水になりやすいので、体力回復のために点滴をすることもあります。
「点滴は風邪を治す特効薬ではない」ということを理解し、リスクを認識した上でうまく活用しましょう。
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