血液型が違っても移植は可能!拒絶反応に関わるHLAって?

2018年5月25日

病気や事故などで臓器の機能が低下した人を救う最終手段となる「臓器移植」。

移植するためには臓器提供者(ドナー)と受容者(レシピエント)の間でさまざまな適合条件を満たしている必要があります。

でも実は血液型が違っていても移植はできるって知っていましたか?

「血液型が違うと輸血はできないのになぜ移植はできるんだろう」と不思議に思う方もいるのではないでしょうか。その理由を調べてみました。

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血液型不適合と拒絶反応

ドナーとレシピエントの血液型が合わないことを「ABO血液型不適合」といいます。具体的には以下の通りです。

A型……B、AB型が不適合
B型……A、AB型が不適合
O型……A、B、AB型が不適合
AB型……不適合なし

ABO血液型不適合のケースの移植は、実は一昔前までは禁忌とされてきました。

血液型とは血中にある抗原の型のこと。その型が違うと、免疫反応で異物とみなしてしまうため、移植した臓器も攻撃されてしまい機能しなくなってしまうのです。

これが「拒絶反応」です。

血液型以上に重要なHLA

臓器移植の場合、血液型以上に「HLA」の型が拒絶反応に関わってきます。

HLAとは「ヒト白血球抗原」のこと。いわば白血球の血液型のようなもので、人間の細胞と体液に分布しています。

このHLAの中で拒絶反応に最も関係するのは6項目と言われています。このパターンがすべて一致する確率は兄弟姉妹で4分の1、それ以外になると1000分の1ほどしかないそうです。

血液型に加えHLAの型が合っている必要があるとすると、兄弟姉妹ですべてが一致する人がいない場合、移植できる確率はかなり低くなってしまいます。

免疫抑制薬で拒絶反応を防ぐ

しかし近年の医学の発達によって、血液型やHLAが不適合の場合でも移植ができるようになってきたそうです。

「免疫抑制薬」は免疫の過剰な反応を抑えることができる薬です。

手術の事前準備として数種類の免疫抑制薬を飲み薬や点滴で投与しておくことで拒絶反応を起こさずに移植することができます。

ただし副作用があり、免疫機能を抑えることは細菌などへの抵抗力も弱くなるということなので、投与量は医師の指導の下、体の状態に合わせて調整する必要があります。また、免疫抑制薬は臓器が機能する限り、手術後も服用し続けなくてはなりません。

ドナーの意思表示は家族にも伝えよう

移植という選択肢が広がり、治すことのできなかった患者さんが希望を持てるようになりました。

しかし日本は欧米諸国に比べて、まだまだドナー不足です。

日本臓器移植ネットワークによると、日本国内で臓器提供を待っている患者さんは約14000人。それに対して、実際に移植を受けることができるのは約400人程度です。

適合するドナーを待っている間に亡くなってしまう患者さんも多くいるそうです。

保険証や免許証の裏は臓器提供の意思表示欄になっています。意思表示欄への記入は任意になりますが、意思があるときはぜひ記入しておきましょう。

私も「自身が亡くなった後、誰かの命を救う助けになれば」と思い、脳死時と心停止時の臓器提供の意思を記入しています。

さらに万が一の時にスムーズに進行するよう、夫にも要望を伝えています。

脳死状態下での移植をドナーが希望していても、家族が反対するケースが多いそうです。家族の中に一人でも反対者がいると、移植は実行できません。

せっかくのドナーの意思を生かすためにも、普段から家族と話し合う機会を設けることをおすすめします!

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