脱水よりも怖い水の飲みすぎ。運動時の「水中毒」に注意!
「中毒」とはある物質を体に取り込むことにより、機能障害を引き起こしてしまうこと。
有害物質が原因で起こることが多いですが、普段は無害な物でも過剰に摂取することで人体に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば、「たくさん飲んだほうが体にいい」と言われている「水」にも注意。
水を大量に飲みすぎると「水中毒(みずちゅうどく)」と呼ばれる症状になり、けいれんや昏睡を引き起こし、最悪の場合は死亡する恐れすらあるんです!
脱水症状の恐ろしさは折に触れて注意喚起されていますが、水中毒についてはほとんど知られていないのではないでしょうか。
これから暑くなり水分摂取が多くなる季節。水中毒のメカニズムや予防対策を知って備えましょう。
低ナトリウム血症が原因
血液中にはナトリウムが含まれていて、体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を調整しています。
水やお茶など水分を大量に摂取すると、血液中のナトリウム濃度が極端に低下し、水分の調整機能がうまく働かなくなることがあります。これが「低ナトリウム血症」です。
水中毒は「低ナトリウム血症」が原因で起こります。
どのくらい水を飲むと悪影響なの?
腎臓の働きが正常な人であれば、水中毒になる可能性はとても低いと考えられています。
外科医の夫に聞いてみると…
というほどレアケースのようです。
というのも腎臓は一日に10リットル程度の水を排出できるから。「暑いから水を飲みすぎて水っ腹だな~」と思うくらいなら、すぐに尿となって排出されるので問題ありません。
アメリカでは7リットルの水を一気に飲んだ女性が死亡した例があります。
これはテレビ番組の企画で、短時間に無理をして飲んだ場合だそうです。
運動する時には飲みすぎ注意
しかし、これからの季節、運動する時は少し注意したほうがいいかもしれません。
特にマラソンや水泳など長時間にわたる競技をする場合、汗からナトリウムが流れ出て続けてしまう上、必要以上に水を飲みすぎてしまう傾向があります。
今年5月15日、ロンドンマラソンに出場した女性がレース後、水中毒になり昏睡状態に陥ったという事故がニュースで報じられました。
女性はコースの途中、20か所以上で水分補給をしたそうです。
水を飲まずにいられない精神疾患も
「水を大量に飲まずにはいられない病気」というものがあります。
「心因性多飲症」と呼ばれ、自閉症や統合失調症の患者にみられることが多いそうです。
飲みたくもないのに飲まずにはいられない…患者本人も苦しくつらい病気ですね。精神疾患の症状を軽減することが水中毒予防にもつながります。
水中毒の症状を知ろう
水中毒は以下のような症状があらわれます。
【初期症状】
- 疲労感
- めまい
- ふらつき
- 吐き気
- 頭痛
【重篤な症状】
- けいれん
- 錯乱
- ろれつが回らない
- 昏睡
重症化すると言語障害や精神的な症状も出てきます。最悪の場合、市に至ることもあるのです。
水を大量摂取した時に不調を感じたら、すぐに水分摂取を控えましょう。
スポーツ飲料や経口補水液がおすすめ
運動中に水分補給するならスポーツ飲料がおすすめです。塩分や糖分が入っていて低ナトリウム血症になりづらくなっています。
脱水症状がある場合にはさらに塩分濃度が高い経口補水液を応急処置として飲むと効果的。
経口補水液は「脱水症状を予防するもの」ではなく、「脱水症状が出てから飲むもの」と考えて、飲みすぎには注意しましょう!
水分補給は適量を心掛けて
水分は取りすぎても毒、取らなすぎても毒。ほどほどがいいんですね。
運動中は脱水症状にならないよう気を付けるのも大切ですが、「のどがかわいたら飲む」ということを心掛ければ十分です。
バランスの良い食事と適度な水分補給でこれからの季節を乗り切りましょう!
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